2007.3月 丈夫な筋肉を作るためには
1.筋肉とは?
体の中には、骨に付着している骨格筋と、小腸などの内臓の壁を作る平滑筋と、心臓の心筋がありますが、今回のテーマでは、体重の40~50%を占める骨格筋について取り上げます。2.骨格筋とは
体の中には大小あわせて400種余りの骨格筋があります。筋肉は、筋原繊維とよばれるたんぱく質の細長い繊維がたくさん集まって筋繊維(筋細胞)となり、その筋繊維が何本か集まって束になった構造をしています。
歩く、走る、立つ、箸で食べ物をつまみ口に入れ噛むといった、一連の動作は骨格筋の収縮と伸展によって引き起こされます。
骨格筋は、その両端が関節でつながれた2つの骨に付着しており、収縮することで関節を屈伸させ、またそれを引き伸ばそうとする外力に抵抗し力を発揮します。つまり、骨格筋は自分の意思で収縮させることができる(随意筋)点が、平滑筋や心筋とは異なります。
代表的な骨格筋には、顔にある「表情筋」(喜怒哀楽の表情を表します)や「咀嚼筋」(あごを動かす働きをします)、胸の筋肉には「大胸筋」(腕を動かす時に主に活躍します)、腹部には「腹直筋」(腹部内臓の保護や脊柱の運動に関与します)などがあります。
また、股関節の屈曲に関与する「腸腰筋」や、お尻の筋肉にあたる「大殿筋」は、直立歩行するためには重要な筋肉です。
3.筋肉を丈夫にするためには
筋肉が丈夫になると、重いものを持ち上げたり、早く走れるなどの運動能力を発揮できるだけでなく、腰痛などを予防する(詳細は、天使のケア2月号をご覧下さい)こともできます。
筋肉を丈夫にするためには、筋肉の断面積を大きくすることが大切です。しかし、それだけでは不足で、筋肉が上手に収縮することが大切です。
筋肉を大きくする方法の一つは、筋肉を鍛える運動をすることですが、運動をしても、筋肉の材料となるたんぱく質を十分とらなければ筋肉は大きくなりません。たんぱく質を筋肉に作り変えるときに必要な栄養素の1つがビタミンB6です。
一方、筋肉が大きくなっても動作に合わせて収縮しなければ丈夫な筋肉とは言えません。
筋肉が収縮するためにはエネルギーが必要です。そのエネルギーというのは、食事からとる炭水化物や脂質が、ATPという形に変換されたものです。その変換に必要な代表的な栄養素はビタミンB1、ビタミンB2です。
更に、筋肉が収縮するためには、「運動しなさい」という信号が脳から運動神経を伝わって、筋肉を刺激しますが、その際にカルシウムが組織から出てきて収縮を可能にするように働きます。カルシウムは骨を作るために重要だということはよく知られていると思いますが、筋肉の収縮にも必要です。国民健康栄養調査結果によると、日本人は例年カルシウムの摂取量が基準量に比べて少ない状況です。骨だけでなく筋肉のためにもカルシウムの摂取を心がけたいものです。
つまり、丈夫な筋肉を作るためには、材料となるたんぱく質と、筋肉を動かすためのエネルギーとなる炭水化物や脂質、調整役のカルシウムやビタミン類が大切といえます。
また、ダイエットのため、ご飯を食べないという人がいるようですが、筋肉の収縮のエネルギーに炭水化物や脂質が重要なことは紹介したとおりです。もし、十分なエネルギーが補給されない場合、筋肉を壊してエネルギーを作り出しますので、筋肉を丈夫にするどころか、弱くて細い筋肉になってしまいます。
4.「プロティン」は必要?
筋肉を丈夫にするために、サプリメントの「プロティン」を摂取しようと考えている方はいませんか?「プロティン」とは「たんぱく質」のことですので、たしかに筋肉の材料となります。しかし、運動をしなければたんぱく質は筋肉に変わらずに脂肪に変換されて体に蓄積します。また、たんぱく質だけ摂取しても他の栄養素が不足すれば、丈夫な筋肉にならないことは先に紹介したとおりです。
また、丈夫な筋肉にするために必要なたんぱく質は、オリンピック選手ほどのアスリートでなければ、サプリメントに頼らなくても通常の食事から十分摂取することができます。
まずは、自分の普段の食事を、見直してみましょう。
5.丈夫な筋肉を作る1日の献立例
丈夫な筋肉を作るために必要なたんぱく質(たんぱく質の多く含まれる食品は青色)やカルシウム(カルシウムが多く含まれる食品は緑色)、ビタミン類が適量摂取できる献立例を紹介します。昼食は、お弁当として考えました。焼き豆腐は青色(たんぱく質が多く含まれる食品)にしていますが、カルシウムも多く含まれる食品の1つです。
特別の食材を使わなくても筋肉を丈夫にすることはできます。是非参考にしてください。
2500kcalの献立
(参考 15~17歳 身体活動レベルⅡ 男子の基準量2750kcal、女子の基準量2200kcal)
■:たんぱく質の多く含まれる食品
■:カルシウムが多く含まれる食品
献立名 |
食品 |
目安量 |
|
朝食 |
ライ麦パン | ライ麦パン | 120g(2枚) |
| マーガリン | 少々 | ||
| ポトフ | 鶏肉(もも肉) | 60g | |
| じゃがいも | 60g(1/2個) | ||
| にんじん | 20g(1/4本) | ||
| たまねぎ | 40g(1/4個) | ||
| グリーンアスパラガス | 20g(1本) | ||
| 固形コンソメ | 1.5g(1/2個) | ||
| 果物 | いちご | 100g(6粒) | |
| 抹茶ミルク | 牛乳 | 200ml | |
| 抹茶 | 小さじ1 | ||
| 砂糖 | 小さじ1 | ||
| 昼食(弁当) | ご飯 | ご飯 | 250g(大盛り1杯) |
| 刻みのり | 少々 | ||
| 焼き豆腐と野菜の肉巻き | 豚肉(もも肉薄切り) | 30g(1枚) | |
| 焼き豆腐 | 30g(1/10丁・拍子木切り) | ||
| ピーマン | 20g(1/4個) | ||
| にんじん | 15g(5mm厚さ程度) | ||
| 油 | 小さじ1/2 | ||
| オイスターソース | 大さじ1/2 | ||
| 酒 | 小さじ1/2 | ||
| ボイル野菜 | キャベツ | 80g(1/2枚) | |
| にんじん | 15g(5mm厚さ程度) | ||
| にら入り卵焼き | にら | 10g(1/2本) | |
| 卵 | 1個 | ||
| しょうゆ | 小さじ1/4 | ||
| 油 | 少々 | ||
| ブロッコリーのごま和え | ブロッコリー | 30g(2個) | |
| 白すりごま | 小さじ1/2 | ||
| みそ | 小さじ1/4 | ||
| 果物 | バナナ | 100g(1本) | |
| 飲み物 | ヨーグルトドリンク | 200ml(1パック) | |
夕食 |
ご飯 | ご飯 | 200g(お茶碗1杯) |
| 味噌汁 | はくさい | 50g(1/2枚) | |
| なめこ | 20g | ||
| みそ | 大さじ1 | ||
| だし汁 | 200ml | ||
| 塩焼き | 塩さば | 80g(1切れ) | |
| だいこんおろし | 大さじ1 | ||
| サラダ | 鶏肉(ささ身) | 20g | |
| ほうれんそう | 50g(1/4束) | ||
| だいこん | 20g(1cm厚さ) | ||
| にんじん | 10g(1cm厚さ) | ||
| みそ | 小さじ1/2 | ||
| マヨネーズ | 大さじ1/2 | ||
| 切干大根の煮付け | 切干しだいこん | 10g | |
| 油揚げ | 6g(1/4個) | ||
| 砂糖 | 小さじ1 | ||
| しょうゆ | 小さじ1 | ||
| 果物 | グレープフルーツ | 100g(1/2個) | |
| 牛乳 | 牛乳 | 200ml |
参考文献
- 河田光博、三木健寿:解剖生理学、講談社サイエンティフィク、1998
- 中坊幸弘・木戸康博:応用栄養学、講談社サイエンティフィク、2003
- 香川安雄ほか:人体の構造と機能及び疾病の成り立ち 各論Ⅱ、南江堂、2005
- (財)日本体育協会スポーツ医・科学専門委員会:アスリートのための栄養・食事ガイド、第一出版、2006
- 第一出版編集部、日本人の食事摂取基準2005年版、第一出版、2005

