ケアって、どういう意味だろう?

2005.12月 難聴の予防~ヘッドフォンなどによる聴力障害

雪の季節になりました。雪には音を吸収する効果があるといわれているため、降り積もると辺りがとても静かに感じられます。 さて、そのなかで、みなさんは小さな音を逃さずに聞き取ることができるでしょうか。このごろ、ヘッドフォンで音楽などを聴きながら登下校している人たちをみかけます。しかし、音が漏れ出すくらいに音量を大きくしたり、長時間聴き続けたりすることによって、耳にはかなりの負担がかかり、聴力障害を起こすこともあります。美しい音をいつまでも聴き取ることができるように、今月は「難聴」について考えてみましょう。

■ 難聴とは

音は耳から入ってきます。この音は、外耳から中耳、内耳を経て、聴神経を通り、脳に伝えられます。この経路のどこに障害が起こっても、音や声がきこえにくくなる難聴が起ります。また、難聴には、音を伝える部分に障害がある「伝音性難聴」、音を感じる部分に障害がある「感音性難聴」があり、このふたつが合併することもあります。


気導音と骨導音の伝達経路
※小田恂:Primary care note めまい・難聴・耳鳴,日本医事新報社,pp144,2005.を参考に作成

■ 「伝音性難聴」

耳アカが外耳道をふさいでしまう耳垢塞栓、炎症による急性外耳道炎、鼓膜に穴があく鼓膜穿孔など外耳道や鼓膜に障害が生じた場合や、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎など中耳に障害が生じた場合に起こります。このように、外耳および中耳の音を伝える部分が障害されると、聞こえが悪くなります。

難聴の程度は、ほとんどの場合、軽度から中等度ですが、慢性中耳炎で炎症を繰り返していると、内耳まで障害されるようになり、「感音性難聴」と合併することがあります。

■ 「感音性難聴」

内耳に障害が生じ、聴力をつかさどる神経がダメージを受けて聴こえが悪くなる難聴の総称です。主なものをみてみましょう。

騒音性難聴
板金工場や製鉄所、造船所など、強い騒音下で長期間にわたって仕事をしていることが原因で起こります。また、ヘッドフォンなどを使って、長時間にわたり、大きな音でお気に入りのアーティストやミュージシャンの曲を聴いている人はいませんか?こんなふうに音楽を聴くことによっても難聴が生じています。そして、ロック難聴やディスコ難聴という言葉があるように、ロック音楽のコンサートや狭い室内でのディスコの大音響は、短期的であっても内耳に障害を引き起こし、一過性の難聴になることがあります。

聴力の低下が左右に等しく起こるのが特徴で、耳鳴りを伴うこともあります。また、最初は高い音が聞こえなくなり、徐々に低い音まで聞こえにくくなってしまうことがあります。一度聞こえにくくなったら、聴力は元に戻りません。初期のうちに発見し、進行しないように気を付ける必要があります。また、ヘッドフォンなどを使うことによって起こる難聴は、わざわざ耳の聞こえを悪くするように自分が取った行動の結果です。この先いくつになっても音楽や友達との会話を楽しみたいですよね。そのためには、自分の耳は自分で守ることが必要ですし、耳の聞こえに良くないことはできるだけ避けることが大切です。


突発性難聴

原因は不明ですが、かぜなどのウイルス感染、疲労や精神的ストレスなどが誘因となって、内耳が障害されて起こると考えられています。

朝起きたら音が聞こえない、電話の声が急に聞き取れなくなるなど、突発的に片方の耳の聞こえが悪くなる状態をいいます。まれに両耳に起こることもあり、ときにはめまいや吐き気などを伴うこともあります。

突発性難聴になった場合、早い時期に治療を始めることで聴力はかなり回復しますが、高度の難聴や治療が遅れた場合には、回復しにくい傾向があります。

※これらの他に、精神的ショックなどにより起こる機能性難聴、薬の副作用により起こる薬剤性難聴、加齢により起こる老人性難聴があります。

■ 毎日を楽しく過ごすために

いつまでも楽しい毎日を送るために、日頃から自分の耳がきちんと聞こえているかどうか、チェックしておくことが大切です。そして、次のことに注意して生活しましょう。

  • 外耳道を清潔に保ち、耳アカの掃除をする。
  • ヘッドフォンなどで大きな音を長時間聴くことは、できるだけ控える。
  • かぜなどのウイルス感染を予防し、疲労や精神的ストレスなどをできるだけためない。

万が一、耳の聞こえが悪くなっても、パソコン通信やファックスなどで友達とのコミュニケーションを取ることはできるでしょう。けれども、友達が話している声が聞こえにくい、聴きたい音楽、そして音そのものが聞こえないなどの状況が生じてしまったら、きっとイライラしたり、つまらなくなったり、生活そのものが嫌になって引きこもってしまったりするかもしれません。楽しいからといって、無意識に大きな音を聴き続けていることはありませんか?将来を楽しく過ごすためにも、症状が出る前に良くないことは止めて、今のうちから自分の耳は自分で守る、自分の健康は自分で守るという意識をもって生活したいですね。

天使大学看護栄養学部看護学科2年次には、病態・治療学の授業を通して、疾患の成立に関わる病態生理学の知識を学習します。また、3年次の健康生活看護学では、その知識を活かして青年期、成人期、老年期の特徴と生じやすい疾患およびその看護を学習していきます。

参考文献

  1. 本庄巌:聴覚・音声・言語障害の取り扱い,PART1聴覚障害,金原出版,2001.
  2. 小田恂:Primary care note めまい・難聴・耳鳴,日本医事新報社,2005.
  3. 立木孝:EBMからみた突発性難聴の臨床,金原出版,2005.

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