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受験生のための職業ガイド

管理栄養士のしごと

栄養士とは。管理栄養士とは。

健康な体を維持するために、人間は必要とする栄養素を食べ物からとり入れなければなりません。食べ物に含まれる栄養素は、体の中でエネルギー源となり、体の組織を作り、生理作用を調節します。これら人間のメカニズムを維持するためには、口からとり入れる食べ物と、食べ物から栄養をとり入れる体の双方に気を配る必要があります。食べ物と人の関係を専門的な知識に基づいて総合的に支える専門職が、栄養士と管理栄養士です。

栄養士・管理栄養士の仕事

●栄養指導
赤ちゃん、おとな、お年寄り、病気の人、スポーツをする人…。人間にとって必要な栄養素の種類は同じですが、その人の運動量や体格・体の状態によって量が異なります。栄養士・管理栄養士は、それぞれの人に必要な栄養素量を食を通してどのように摂取するかを考えます。毎日の食事をおいしく楽しく食べるための食べ方を提案し、一人ひとりの暮らす環境や習慣にフィットした適切なアドバイスを行うことも、栄養士・管理栄養士の仕事です。

●給食の栄養管理・進行・衛生管理
病院などの医療機関や学校、老人ホームなどの施設や社員食堂など、特定多数の人へ継続して食事を提供することを、集団給食といいます。(一般のレストランなどは、不特定多数の人へ食事を提供する「営業給食」を行っています。)栄養士・管理栄養士は、給食を食べる利用者の健康状態を保つために、献立を作成し、栄養管理をします。また、給食の提供にあたって、調理場内や食材などの衛生管理と、進行管理にも携わります。栄養士・管理栄養士の適切な配置は、施設の規模により、法令で義務づけられています。

栄養士・管理栄養士の活躍の場

●病院
栄養士職の就職先として、病院はおよそ3割を占めます。その主な仕事は、チーム医療の一員として臨床における栄養管理サービス、入院および外来患者の食事管理と栄養指導です。

〜食事管理〜
入院中の患者に提供する食事の内容は、病状や治療方針と関わりながら管理されています。一口に食事といっても、食事制限のない「一般食」、栄養素等に制限のある「減塩食」や「低タンパク食」などの特別食、手術後の「流動食」などさまざまな種類があります。栄養士・管理栄養士は摂取栄養量が記入された「食事箋」を医師から受けとり、具体的な献立作りや給食管理を行いますが、患者ひとりひとりの食習慣を大切にしながら、おいしく食べられるさまざまな工夫も行います。

〜栄養指導〜
生活習慣病患者への食事療法を管理するのも栄養士・管理栄養士の仕事です。臨床栄養の知識を応用して総合的な栄養管理の観点から、病気の予防や治療に積極的にかかわる、医療の一翼を担う存在としての期待も高まっています。

退院後の患者が、自分自身の力で実行できる栄養管理の方法を教育することも、栄養士・管理栄養士の仕事です。身体計測や血液などの臨床データをもとに、経過をみながら継続的なアドバイスや教育を行う場合もあります。

●保健所・保健センター
保健所は全国に約600ヵ所あり、栄養士・管理栄養士は地域の集団給食施設への巡回や集団健康診断での栄養指導を行います。また「糖尿病教室」など地域の健康づくりを増進するための企画立案や、栄養指導員として「国民栄養調査」を行うことも重要な仕事です。

保健センターは全国に約2200ヵ所あり、保健所よりも身近な存在として位置づけられています。栄養士・管理栄養士は、母親学級の開催や乳幼児検診でのアドバイス、成人や高齢者に対する健康相談など、より地域に密着した栄養指導に取り組みます。

●学校
全国で1万人以上の栄養士が小中学校で働いており、学校の規模によってその配置が定められています。給食調理だけでなく、配食指導、献立作成、経費計算、衛生管理などをします。また、全学やクラス毎の栄養教育、近年増えているアレルギー体質の子供への対応など個人指導も栄養士・管理栄養士の役割です。

小中学校のほか、保育園や乳児院などの児童施設でも栄養士・管理栄養士は活躍します。仕事内容は小中学校とほぼ変わりませんが、乳幼児は月齢などによる個人差が大きいので一人ひとりへの対応が求められています。

●福祉施設
特別養護老人ホームなどの高齢者施設でも、栄養士・管理栄養士は給食サービスを管理しています。1日3食の提供、1食のみのデイサービス、在宅のお年寄りへの配食サービスなど、様々な形があります。高齢者への食事は、健康状態のみならずその食べ方にも配慮が必要で、食事を楽しんでもらえるようにいろいろな工夫をします。

●委託給食会社
社員食堂など産業給食のほとんどは委託給食会社により運営され、そこでも栄養士・管理栄養士が活躍しています。主な仕事は、メニュー作りなどの栄養管理、調理、衛生管理ですが、その企業の規模や経営状態などにより、環境・予算が異なります。最近では企業側が社員の健康管理に積極的になり、また、好きなメニューを選べるカフェテリア形式の導入が増えました。これにより、栄養士・管理栄養士は、栄養表示をしたり、サンプルのディスプレイを工夫したりと、活動範囲は広がっています。

●研究開発・情報発信
人々の健康・食生活への関心の高まりにより、栄養士・管理栄養士の活躍の場は民間企業へも広がっています。食品メーカーをはじめ、調理器具メーカー、スーパー、デパートなど、多岐にわたっています。ここでは、栄養士・管理栄養士の資格というよりも、専門知識や技能、食品や調理に関して学んだ知識や経験が求められています。例えば、食品の商品開発における品質管理、仕入れ業者への営業同行、研究機関での食品成分の分析などがあげられます。

この他、出版・新聞・テレビなどのメディアを通して、幅広く食や栄養に関する情報発信をしている栄養士・管理栄養士もいます。無理なダイエットの危険性を伝えること、生活習慣病の予防を呼びかけることなどは、意義深い活動と言えます。

●スポーツの現場
1992年のバルセロナ・オリンピックにて、日本オリンピック史上初の選手団専属の栄養士が誕生し、2001年につくられた「国立スポーツ科学研究所」にも、管理栄養士が常駐しています。栄養に関する専門知識と運動量に見合った栄養管理は、選手達にとって欠かせないものと言えます。

当然ながら、その競技や、選手のコンディション、時期によって指導法はさまざまです。体力・体調維持のための自己管理は最も重要で、必要な食事法を理解させ、習慣化させるため、継続的に指導をし、選手のやる気を喚起します。また、近年ではサプリメントの摂取も増えており、関連する情報、成分、効果などの情報収集が必要です。

ただ、実際にスポーツ選手を対象とした仕事に就くのは狭き門と言えます。しかし、スポーツ栄養という領域では、フィットネスクラブなどで需要があります。運動前の医師による健康相談と並行して、栄養士・管理栄養士による食事相談を行っているところもあります。

栄養士と管理栄養士の違いとは

『栄養士』の仕事は、人々の健康維持・増進を図るための栄養指導と給食管理が中心です。一方で『管理栄養士』の業務は、栄養士法のなかで、具体例として次のように記されています。

●管理栄養士が主に行う業務の具体例

  1. 傷病者に対する栄養指導(主治医からの指導を要する)
  2. 個人に対する健康の保持・増進のための高度な栄養指導
  3. 給食施設における特別な配慮を要する給食管理

『栄養士』は病気を持たない者に対し健康を増進するための栄養指導を行いますが、「高度な栄養指導」となると『管理栄養士』の能力が必要となります。

『管理栄養士』の業務としてあげられている上記3の「特別な配慮」には、具体的に2つの基準があります。まず、「医学的な管理を必要とする給食」です。小学校の児童など不特定多数に提供する給食などは『栄養士』だけでも作ることができますが、たとえば、糖尿病患者に対する食事のように、栄養バランスを厳密に考慮して献立を立てる必要がある給食は、『管理栄養士』の仕事となります。また、「1回300食以上または1日750食以上の食事を提供する給食」も、高度な管理能力が問われるということで、『管理栄養士』を置かなければ作ることができません。基本的に『栄養士』は「万人」を対象に栄養指導や給食管理をするのに対し、『管理栄養士』には、「個人」を対象に、カルテなどを読み解きながら、その病状や体質など、さまざまな要素を考慮し、その人にとってもっとも効果的な栄養指導や給食管理をはじき出すという高度な能力が求められているのです。
別の角度から見ると、『栄養士』は給食の献立作成を中心として「食事」や「食品」を取り扱うことが主な仕事であり、『管理栄養士』は「人間」を相手に栄養指導することが主な仕事であると言えます。

栄養士職の職場はさまざまありますが、どの現場においても高度な栄養知識・技術が求められる傾向にあり、そのため、『管理栄養士』の資格を持つ人は優遇されています。たとえば、学校において、学校給食の献立作りだけでは『栄養士』の力で十分対応できますが、児童に正しい栄養知識を教え込むには『管理栄養士』としての知識や技術が不可欠です。保育園においても、アレルギーを持つ子供への食事管理やその保護者への栄養指導には、『管理栄養士』の知識やカウンセリング能力が求められます。さらに、『管理栄養士』が給食を管理している病院へは、「特別管理加算」という報酬が支払われるため、病院の経営的な理由から『管理栄養士』の採用が望まれています。この他、「市町村の栄養士」は『栄養士』『管理栄養士』ともに採用対象となりますが、「保健所の栄養士」は『管理栄養士』しか採用されません。

栄養士・管理栄養士になるには

栄養士の資格を取るには、厚生労働省が指定認可した栄養士養成施設で決められたカリキュラムを履修し、卒業しなければなりません。養成施設とは、大学、短大、専門学校などがあり、学校数は全国に約280校あります。

それぞれ養成施設によって修業年限が違いますが、得られる栄養士の資格は同じものです。とはいっても、2年間で免許の取れる短大や専門学校のほうが楽、ということではありません。短い期間でさまざまな分野を学び、実習・実験を重ねていかなければならなく、そのスケジュールはハードと言えます。また、短大の2年間で学び足りないと感じたら、卒業後に4年制大学への編入も可能です。4年制大学では、時間をかけてじっくりと学べるため、より深い専門知識が身につきます。幅広い選択科目の中から興味のある専門分野を履修でき、また、一般教養科目や卒業論文などがあります。

管理栄養士の資格を取るには、国家試験に合格しなければなりません。国家試験の受験資格は、栄養士であることが前提です。さらに、栄養士法で定められた栄養士としての実務経験が必要になります(図参照)。ただし、管理栄養士養成施設で栄養士の資格を取ると、実務経験なしで、卒業と同時に管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。社会に出てからの仕事と受験勉強の両立は難しく、学生のうちに受験対策ができるというのは大きなメリットです。管理栄養士養成施設のカリキュラムには、計82単位の管理栄養士必須科目が組み込まれています。

●管理栄養士国家試験受験までのルート

管理栄養士養成校(4年)
栄養士養成校(4年)

栄養士養成校(3年)

栄養士養成校(2年)
栄養士免許取得
栄養士免許取得 実務経験(3年以上)
栄養士免許取得
栄養士免許取得 実務経験(2年以上)
実務経験(1年以上)
管理栄養士国家試験受験
合格して管理栄養士免許取得!