朝食を抜いて登校したり、外食中心の生活を続ける子どもたちの増加にともない、慢性的なカルシウム不足、脂肪の取りすぎ、過度なダイエットなど、児童の偏った栄養摂取が見過ごせないほど深刻な状況になっています。そうした現状を改善すべく、文部科学省が免許制度化に乗り出し、2004年5月に免許制度化されたのが『栄養教諭』です。
『栄養教諭』とは小・中学校等で「食に関する栄養指導」と「学校給食の管理」を一体に担う職員です。それだけに、「栄養に関する専門性」と「教育に関する資質」を併せ持つ人材が求められます。
●食のカウンセラー
「給食」「家庭科」「体育科」「総合学習」などの時間を利用して、偏食、肥満、食物アレルギーなど食に関する悩みや疑問を抱える子どもたちに対し、クラス単位あるいは個別に指導を行い、食生活改善の手助けをすることが『栄養教諭』の最も期待されている役割です。さらにPTAなどをとおして、児童の保護者や地域社会とも密接なつながりを持ち、子どもたちの食生活の実態を情報交換するとともに、保護者や地域社会に対しても効果的な栄養指導・支援を行っていくことが『栄養教諭』に求められています。昨今、「スクールカウンセラー」と呼ばれる児童の心のケアを担当する専門職が小・中学校に定着してきましたが、『栄養教諭』はいわゆる「食のカウンセラー」として今、新たに必要とされている職種なのです。
●学校給食の栄養管理・進行・衛生管理
栄養指導とともに、現在は学校栄養職員が行っている「学校給食の管理」も『栄養教諭』が担います。具体的な職務内容としては、学校給食の献立作成、施設設備の衛生管理、調理上の食品衛生指導、検食の実施、給食業務効率化のための企画立案などです。
●広がる仕事領域
『栄養教諭』には、「食に関する栄養指導」と「学校給食の管理」の両方を受け持つことで、児童の栄養状況を改善させる相乗効果を生むことが期待されています。たとえば児童へのカウンセリングをとおして得た情報を献立作りのときにフィードバックさせたり、給食での残飯物状況を児童への栄養指導に役立てたり、あるいは「給食」という生きた教材をとおして栄養教育を行ったり、といったことです。
●栄養教諭の免許状の種類
免許状の種類 基礎資格(原則)
専修免許状 大学院修士課程修了程度で、管理栄養士の免許を有する者。
一種免許状 大学卒業程度で、管理栄養士養成のための教育課程を修了している者。
二種免許状 短期大学卒業程度で、栄養士免許を有する者。
本学栄養学科では「一種免許状」取得のための養成課程をカリキュラムとして設けています。
●栄養教諭に対する天使大学栄養学科の対応
本学栄養学科では、2004年5月から栄養教諭の教職課程を置き、4年間の学びの中で「栄養教諭一種免許状」を取得できるようになりました(選択制)。ただし、2005年4月以降の新1年生しか栄養教諭免許を取得することはできず、今のところ3年次編入学生の免許取得は検討中です。
「栄養教諭とは」で説明したような教育効果を考えると、『栄養教諭』はすべての学校給食実施校に必置されることが望ましいでしょう。しかし、学校給食の実施そのものが義務ではないこと、現在の学校栄養職員も学校給食実施校すべてに配置されているわけではないこと、および地方の自主性を尊重するという地方分権の趣旨にかんがみ、『栄養教諭』の配置は義務とはせず、公立学校については「地方公共団体」の、国立および私立学校についてはその「設置者」の判断に委ねられています。
最終更新日:2005年12月21日