助産師の仕事は「女性の傍らにあって、生命を育むこと」。
この職業を強い決意で選んだ方々に
集まっていただきたいと願っています。
天使大学 大学院助産研究科長 園生 陽子
本学は保健師助産師看護師法による最初の助産師学校として、1952年に天使助産婦学校を開設し、1965年には短期大学専攻科に改組し、2000年に募集を停止するまで、数多くの助産師を世に送り、国内外の母子保健分野に貢献してきました。天使大学は2000年に短期大学から大学学士課程に改組転換しましたが、現在のわが国の母子保健水準に対応する高いレベルの助産実践に備え、助産教育は大学院に開設するのが適当であると考え、準備を進めました。「助産師教育は一つのまとまった体系であり、助産は看護の一部ではない」という国際助産師連盟の見解も、学士課程修了後に助産の教育課程を開設する後押しとなっています。
高度の専門性を要する職業人を養成する専門職大学院制度に基づき、2004年4月に日本初の助産専門職大学院を開設し、助産実践について深い学識と卓越した能力の修得を希望される方々に広く門戸を開きました。そして、2008年4月より、従来の助産師養成を目的とした「助産基礎分野」に加え、助産師教育の要となる質の高い助産師教員育成のため、新たに「助産教育分野」を設置しました。この分野では、助産師として臨床経験を積まれた方々を対象に、学内での講義はもとより臨床の場において、助産師の後継者を指導・教育する能力を修得すること、また、自らの臨床実務を再点検することを主な教育目標としています。
本研究科が大切にする教育目標の一つに、「エビデンスにもとづく助産実践に必要な専門知識と技術の修得」があります。エビデンスとは、助産師の実践を、科学的に検証し、臨床の知として抽出されたもので、本研究科では自分が学んだ理論がどのようにして臨床行動に適用されるかを学修します。これらの目標を達成するため、本研究科では「助産学実習」の単位数を、改定指定規則による9単位を大幅に上回る「20単位」とし、分娩10例程度とされている実習の内容は、妊婦健診・保健指導25例以上、産婦診断・ケアと正常産13例以上、褥婦・新生児ケア13例以上、家庭訪問(継続事例含む)2例など多くの実習を実施しています。
助産師はその名称から出産のみを取り扱うように思われがちですが、実際にはもっと深く広い役割が求められています。妊娠・出産・産褥期の女性や新生児のケアはもとより、思春期から中高年期にわたる女性のライフステージ全般の性と生殖、不妊や遺伝に関する健康教育・相談、カウンセリングなど、広い役割が期待されています。女性の多様な価値観を尊重し、それぞれの女性にとって最良で快適な出産方法を選択するために必要な情報を提供することもまた、重要な仕事となっています。卒業後の進路は、助産所の開業、母子健康センターなど地域健康サービス拠点での自立した助産活動、発展途上国での活動など、多様な場が開かれています。また医療機関の中には、助産師外来や院内助産所など助産師が中心になり妊産褥期のケアを担う新たな構想を持つところもあります。「助産教育分野」を修了した方は、教育機関や実践現場において助産師を志望される方々の育成にあたり、質の高い助産技術や理論を教え伝える役割が期待されています。
「愛をとおして真理へ」という建学の精神のもと、社会の中で女性を支え、生命を育む助産師になることを強く希望される方々に集まっていただけることを願っています。
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