ケアって、どういう意味だろう?

2007.9月 年代を問わない悩み それは便秘!

人間がサルから進化して二足歩行を開始して以来もった悩み、その一つが便秘です。 文化的な生活は便秘の危険をはらんでいる!?

私たち人間は生きていくために必要な食物を食べ、その栄養を吸収した残渣物が便であることは誰でも知っているでしょう。栄養を摂るために人間の消化管は、口から肛門まで一つにつながっていて、食べ物を移動させながら、消化液を分泌し、食べ物を吸収しやすく分解して栄養や水分を吸収します。「便秘」は消化管の中でも、とくに大腸の働きと密接に関係しています。

大腸の働き

消化器大腸はおもに水分を吸収します。小腸までは水っぽい内容物ですが、約1.5mの大腸で徐々に水分が吸収されて、だんだん硬くなっていきます。ですから、大腸にとどまっている時間が長いと便は水分を失い、硬くなって出にくくなるのです。

また、大腸は上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分かれ、肛門につながります。残渣物は、徐々に下行結腸に溜り、食べ物が胃の中にたくさん入ったとき大腸が大きく動くので一気に直腸へ移動し、直腸の内圧が高くなって便意を感じるのです。この大腸の大きな動き(大蠕動)は1日に1~2回起こります。この腸の動きに合わせて、便意を感じたときにトイレへ行っていきむと、スムーズに排便できます。

では、なぜ便秘になるのか、便秘の対策などを、根拠を含めて考えてみましょう。

便秘の原因

  1. 忙しい生活で、便意(便を排出したい感覚)を我慢することが多い。便意を我慢すると、15分くらいで直腸内の便は結腸へ戻ってしまい、便意は消失します。そして結腸で水分の吸収が進んで、硬便になります。そのために便秘になります。
  2. 生活が夜型だったり不規則な生活をすると、朝は食欲がなく、朝食を摂らなかったり、摂っても量が少なくなるでしょう。あるいはダイエットをしている人もいます。そうすると、朝食後の1日で一番大腸が動く機会が失われてしまいます。
  3. 最近の食生活は米よりパン、野菜より肉類が多い傾向があります。食物は食べてから24~72時間で排出されますが、材料がないと便を作ることができません。この材料の中心が食物繊維です。食物繊維は野菜の中に多く含まれています。ですから、野菜が少ないと便秘になりやすいのです。
  4. 運動が少ないために腹筋力が不足していきむことができなかったり、ストレスが多くて交感神経が優位の時間が多くそのため腸の動きが抑制されることも便秘の原因になります。

便秘のおもな症状

  1. 左下腹部の不快や痛みがある
  2. 食欲が落ちる
  3. 注意力が散漫になる
  4. 痔になる
  5. 肌荒れ・吹き出物が出る

便秘の対策

1.リラックスする時間をとりましょう!

仕事や勉強を一所懸命に行って緊張するときと、ゆっくりリラックスするときのバランスを取りましょう。緊張すると交感神経が優位になり腸の動きは抑制されるので、リラックスするときをつくり、副交感神経を優位にして腸の動きを助けましょう。

2.運動をしましょう!

歩く機会を作りましょう。学校や職場もできるだけ階段を使い、通学や通勤のときには乗り物を一駅分短くして歩くのもいいですね。掃除、洗濯、買物などの家事や仕事はできるだけ全身の筋肉を意識して使い、その仕事を運動の機会にしましょう。腹筋を強めて、腸の動きも活発になります。

3.食事を見直そう!

肉や魚は大切な栄養源ですが、人間にはそれより多くの野菜が必要です。野菜というと生野菜のサラダをイメージする人が多いと思いますが、葉菜類はゆでたり、味噌汁に入れるなど、加熱するとたくさんの量を食べることができます。また、根菜類も繊維が多くて栄養が豊富です。意識して、野菜を多く摂りましょう。

*ダイエットしている人に一言:ダイエットするなら健康的にしましょう。減らすのはお菓子や油っこいもの。食事はお腹がいっぱい(腹八分目くらい) になるようにしっかり食べましょう。また、運動して筋肉をつけ、硬くしまった体型を保ちましょう。筋肉がつくと骨を支えるので姿勢がよくなり、バランスの取れた美しい姿になります。

4.生活サイクルを見直そう!

朝食はたっぷり、ゆっくり食べましょう。また、食事は朝、昼、夕の3回、規則的に摂りましょう。空腹時に胃にたくさん食物が入ると大腸が大きく動いて(大蠕動)、直腸に便が移動し、便意を催します。お腹が空きすぎるとおやつを食べずにいられなくなり、おやつを食べると食事の量が少なくなるという悪循環になります。

夕食は夜寝る3時間前までに済ませるようにしましょう。そうすると摂った栄養が寝るまでにある程度消費されて余分な皮下脂肪にならずに済みます。また、食後すぐに寝ないので、朝は空腹を感じます。夜はぐっすり眠って、朝食はおいしくたっぷり摂って下さい。朝食後は1日で一番胃腸が大きく動くときです。胃に食べ物がたくさん入ると大腸が大きく動いてたまった便を直腸に移動します。便意を催すので、そのタイミングでトイレに行きましょう。便意は大腸が動いているタイミングを知らせてくれるサインです。できるだけ我慢しないで下さい。自分のいきみだけでなく、大腸の動くタイミングに合わせると、楽に排便できます。

5.腹部や腰部のマッサージと、温罨法をしてみましょう!

マッサージ仰向けで腹式深呼吸をし、重ねた両手で腹部を3cm凹む程度大腸の走行に沿ってゆっくり「の」の字に圧迫します。左下方に硬いものが触れた場合は便の塊であることが多いので圧してみましょう。もし痛ければ圧さないで下さい。腹部マッサージは腸の動きを助けます。

また、第3~4腰椎のあたりに排便中枢があります。そこを温めたり、周辺を指圧すると刺激で腸が動きます。場所は、おおよそ背骨とウェストが交わる点のやや下方です。 もし、肛門のすぐ内側まで硬い便が出てきて詰まってしまった、いきんでも出ないという切羽詰った状態になったら、肛門周囲を圧迫しましょう。圧迫の方法は、トイレットペーパーを2~3枚重ねて人差し指と中指をおおい、指腹で便を肛門から出やすく細くするつもりで肛門周囲を圧迫すると、便が出やすくなります。

6.医師による治療もあります!

自分ではどうにもできない場合は病院へ行って医師から薬をもらいましょう。下剤は飲み薬で、腸を動かします。座薬と浣腸は肛門から挿入し、各々、便を軟らかくし、腸を刺激し、潤滑に排便しやすくします。薬は自分の身体に合うものを処方してもらいましょう。

さて、以上の便秘については、天使大学では『基礎看護技術論』という科目で学習します。

参考文献

  • 堺 章:新訂 目でみるからだのメカニズム,医学書院,2005.
  • 村中陽子他:学ぶ・試す・調べる 看護ケアの根拠と技術,医歯薬出版株式会社,2005.
  • 深井喜代子:Q&Aでよくわかる看護技術の根拠本、メヂカルフレンド社、2004.
  • 山崎智子監修:明解看護学双書2基礎看護学Ⅱ、第2版、金芳堂、2004.

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