ケアって、どういう意味だろう?

2007.2月 腰痛予防について

腰痛は、二本足で直立歩行するようになって以来、人類のいわば宿命的な病気で、8割の人が生涯に一度は腰痛を経験するともいわれています。これまで、日本では子供の時期に腰痛が生じることは認識されていませんでしたが、欧米では若年においても一般的なものと考えられています。最近、若年層を対象に腰痛経験率を調査した結果では、中学生約3割、高校生と大学生各々に約5割と日本においても若年層の腰痛が決して珍しくないことが明らかになってきています。 そこで、今回は腰痛予防について考えてみたいと思います。

背骨のしくみ

背骨人間の背骨は、脊柱(せきちゅう)、あるいは、脊椎(せきつい)と呼ばれ、頭蓋骨の下から骨盤までつながっています。その部位によって頚椎(けいつい)、胸椎(きょうつい)、腰椎(ようつい)などに分けられます。これらの骨は、一直線につながっているのではなく、「生理的彎曲」という横から見ると「ゆるやかなS字カーブ」を描いています。この生理的彎曲のおかげで、上手にバランスを保つことができるのです。また背骨は、腹筋や背筋などの筋肉で支えられていて、姿勢を維持し、体を曲げ伸ばしするのに重要な働きをしています。

腰痛とは?

腰痛地面に対して垂直に立った人の背骨は、上半身にかかる重力のすべてを支えなければなりません。さらにその負担は、少し前屈みの姿勢や重い物を持った時などに大きく増えます。こうして常に重力というストレスに曝されている背骨が「もう、だめだ」と悲鳴をあげた状態が「腰痛」です。

腰痛の原因

腰痛の原因は様々ですが、以下に「3大原因」を紹介します。

骨の歪み机に長時間向かう姿勢や、いつも同じ側の足を組んだり、重い荷物を持つ手やショルダーバックをかける肩が決まっている等で骨格が歪み、腰痛になります。
筋力の低下 日頃の運動不足から腹筋が弱くなると背筋に引っ張られるようにして背中が反り、腰痛になりやすくなります。また、体の柔軟性が欠如すると腰部と下肢の筋肉が伸びなくなり、前かがみになる時などに腰痛が出現します。
血行不良運動不足やきつい下着、太りすぎ、ストレスといったことが原因で筋肉への血の巡りが悪くなり、「ブラジキニン」という発痛物質が発生し、神経を刺激するため腰痛が起こります。

その他に、内臓疾患・婦人科疾患などが原因でおこることもあります。

腰痛の予防・治療

今痛みのない人でも、予防のために以下の内容を参考にしてみましょう。

1.標準体重の維持とコントロール

体重が標準体重より5kg多ければ、常時5kgの荷物を背負っているのとほぼ同じで、余分な体重は加重なストレスになります。しかし、体重だけ落とすのではなく必要な筋肉をつけながら体重のコントロールをすることも大切です。

以下に標準体重を求める計算式(ブローカの桂変法)を紹介します。

身長159cm以下の場合  (身長-105) kg
身長160cm以上の場合  (身長-100)×0.9 kg

2.正しい姿勢を保つポイント

立つ 猫背や腰を反らせすぎ、お腹を突き出した姿勢は、腰に負担をかけます。あごを引き、腰をひっこめ頭部で背骨を吊り上げるような感じで立ってみましょう。
座る 椅子に腰掛けることは、最も腰に負担をかける姿勢の一つです。椅子に座る時は、背中を背もたれに押し付け、足を床にぴったりつけましょう。脚を交互に組んで座ることも、腰の反りを防ぎます。椅子の高さは、膝が股関節よりも高くなるよう調節しましょう。

3.日常生活動作と注意事項

日常生活における腰痛の出現は、必ずしも重量物の運搬や激しい動作の場合とは限りません。むしろ、ほんの些細な動作がきっかけになることの方が多いかもしれません。

腰痛を予防するための主な生活上での注意事項を以下に紹介します。

朝の洗顔動作 膝を伸ばしたまま前かがみにならず、両膝を軽く曲げるか、低い台に片足をのせて軽く前かがみになるようにしましょう。
トイレ 和式トイレで中腰になると、椎間板(骨と骨の間にあるクッションの働きをしているもの)への負担が大きくなりますので、洋式トイレを利用しましょう。しかもあまり前かがみにならないように心がけましょう。
防寒 寒さで筋肉が収縮し、凝りを招き、腰痛の原因ともなりますので肩から背中の保温に努めましょう。
寝具 ベッドに横になった時、体が沈みすぎると腰のそり返りが強くなり、寝ている間に筋肉が疲労しますので、ふとんやマットレスはやや固めの物を選びましょう。
腰椎の前彎を少なくするためにも、ヒールは2~3cm以内がおすすめです。
荷物の持ち方 片手下げは、反対側の筋肉がバランスをとるため、両手下げの2倍以上のストレスが加わることになりますので、左右対称にバランスよく持つように心がけましょう。

4.バランスのよい食事

骨のもとになるカルシウムや筋肉の材料になる良質のたんぱく質を多く摂りましょう。カルシウムは、ミルク・チーズを中心とした乳製品や小魚に多く含まれていますし、たんぱく質は、お肉やお魚に含まれています。ただし、バランスよく食べたとしても、運動しなければ骨や筋肉になりませんし、糖質や脂肪も消費されないと脂肪として蓄積され肥満を招きますので要注意!

<腰痛体操>

主な体操を以下に紹介します。1つの体操を5回から10回、程よい疲労感が出て、ジンワリ汗をかくくらいに行いましょう。

注意事項
  1. 反動をつけない
  2. 呼吸を止めない
  3. 無理に伸ばさない
  4. 痛みのある時は無理しない

<腹筋強化運動:腹筋を強くする運動> … 臍にらみ運動
臍にらみ運動
  1. 仰向けで、膝を軽く曲げ、手を太ももの上におきます。
  2. 1,2,3と肩が床から10cmのところまでゆっくり上体を起こし、5秒間そのまま保ちます。

<骨盤傾斜運動:腰の反りを減らす運動> … 腰あげ運動
腰上げ運動
  1. 仰向けで、軽く膝を曲げ、腕を体の横におきます。背中と床の隙間を埋めるイメージで背中を床に押しつけます。
  2. おしりをギュッとつぼめながら浮かせて、5秒間止めます。

<下部背筋伸長運動:腰の筋肉を伸ばす運動> … 腰のストレッチ運動
腰のストレッチ
  1. 仰向けで、両手で膝を抱えます。
  2. 膝を胸につけ、5秒間止めます。

天使大学看護栄養学部看護学科では、看護援助は、腰痛を引き起こすことも多いのですが、それらを予防しながら効率よく援助できる方法を基礎看護技術論Ⅱで学習します。

引用・参考文献

  1. カパンディ,嶋田智明:カパンディ関節の生理学3,1986.
  2. 河端正也著:腰痛テキスト-正しい理解と予防のために,南江堂,1998.
  3. 荻島秀男訳:カリエ博士の腰痛ガイド 正しい腰痛のなおしかた,医歯薬出版,1991.

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