2006.12月 視力低下予防
皆さんは、最近目が疲れる?視力低下してきた?など目のことで気になることはありませんか。今回は、視力に関することをご紹介します。
1 視力とは
視力とは物の形の存在を識別できる能力をいいます。眼の働きが正常な場合は、眼は入ってきた光を「角膜」を通して「水晶体」によって集め、その焦点は「網膜」に物体の像を結び、「視神経」を通して、「脳」が物体を認識します。

角膜は光を屈折させる凸レンズの役割を担っていますが、角膜の形状は変えられないので屈折率は変化せず焦点を合わせる調節はできません。水晶体は光の屈折率が一定な角膜とは異なり、周囲にある毛様体という筋肉の働きでその厚みを変えることができるので、屈折率を調節できます。近くを見るときは毛様体が緊張し、水晶体は厚くなり屈折率は強くなります。反対に遠くのものを見る時は、毛様体の緊張がなくなり水晶体は薄くなって、屈折率は弱くなります。眼はこのようにして焦点を調整し物が見えるようにしています。
そのためこれらの器官が損傷を受けると、角膜や水晶体などの異常、網膜の異常、神経の異常などが起こり、網膜上に像を結ぶことができなくなり視力が低下するか、場合によっては失明してしまうことがあります。
2 視力低下について
視力低下は、眼の構造や水晶体の屈折異常などで、網膜上に像を結ぶことができなくなる「近視」、「遠視」、「乱視」などが原因で起こるものと、眼精疲労が原因で起こる「仮性近視」などがあります。
・近視
近視とは眼球内に入ってきた光が網膜上ではなく、網膜より前に遠くの像を結ぶものをいいます。原因は二つあり、ひとつは眼球の長さ(角膜から網膜までの距離)が通常より長いためや短いために、網膜上に焦点を合わせられない場合と水晶体の厚さの調節や屈折率の調整が困難な場合があります。

近視になると遠くのものがぼやけて見えて、近くのものがはっきり見えます。凹レンズでの補正が必要となります。日本では近視は極めて多く、小学生で10%、中学生で30%、高校生で50%、大学生で60%占めているといわれます。発生原因には色々な説があり、まだ不明です。
・遠視
遠視とは近視の逆で、眼球内に入ってきた光が網膜上ではなくもっと後ろで物体の像を結ぶものをいいます。そのため、遠くのものも近くのものも、ぼんやりと見えづらくなってしまい、焦点をあわせる調節に過剰な負荷をかけるので疲れ眼になってしまう場合が多いです。凸レンズによる補正が必要となります。
・乱視
乱視とは、水晶体の水平方向と垂直方向で屈折力が異なるものを正乱視といい、1点で焦点が結ばれない状態で、日常では、物がだぶって見えます。そのためレンズで補正します。

他に角膜の表面が不規則で光線の屈折も不規則となったものを不正乱視といい、コンタクトレンズで補正します。
・仮性近視
近くの物をジッと見ていると、近くに焦点合わせをするために毛様体が緊張し、水晶体が厚くなります。そのため長時間近くの物を見ていると、毛様体が緊張を続け、近視と同じように遠くが見えにくい状態になってしまいます。そのような状態を仮性近視といいます。
試験勉強などで参考書を眼のまじかで長時間読んでいたりすると、眼がとても疲れた経験はありませんか。そのあと視力がわるくないはずなのに、一過性に焦点がぼけて字が読みづらく思うことないですか。そのような時、この仮性近視の状態、つまり疲れ眼の状態になっているといえます。
3 眼の疲労について
最近、眼の疲れや乾き、かゆみ、充血などはありませんか。もしその症状が睡眠や休憩をとるなど、眼を休めることで改善されるなら「目の疲労」いわゆる疲れ眼といわれる状態です。でももしそれでも症状が改善されない場合は、「眼精疲労」が起きていると判断されます。これは眼を使い続けることで、頭痛、肩こり、視力低下、めまい、吐き気などの症状がでてくる状態をいいます。
4 眼の疲労回復について
眼精疲労になる前に、簡単にできる眼の疲労をとるための方法を紹介します。
・遠くを見る
読書やパソコン、ゲームなどをすると、近くのものばかりみることになるので毛様体筋がずっと緊張して収縮した状態になっています。そこで少し視線を変えて遠くの静止している景色をみることで、毛様体筋の緊張はゆるみ、眼の緊張がほぐれます。星を見る人は眼が良くなるという言われはこの理由からもきています。
・眼を冷やす、温める
水晶体や眼球を動かしているのは、筋肉です。スポーツと同様に使いすぎた筋肉を冷やしたり、温めたりすることは、眼の筋肉の血行を改善します。アイスノンや冷やしたタオルをまぶたの上に載せる、逆に温かいお湯で蒸したタオルをまぶたの上に載せるなどしてみてはいかかでしょう。
・まばたきを頻繁におこなう
簡単なことではありますが、まばたきというのは眼球周辺の血液の流れをよくしたり、涙の分泌を促進して眼の乾燥予防を行うなどの効果があります。まばたきなら、乗り物移動中など場所や時を選ばずにできます。
5 視力低下のための環境づくり
視力低下を予防するために基本となるものは、それまでの生活習慣を見直して、規則的な生活習慣をすることが大切です。
そのためにまずは偏食や食べたり食べなかったりといった不規則な食事習慣をあらためることが大切です。なぜなら体内で作られる物質ではなく、食事摂取から体に取り入れる食品には、眼の機能を向上させ視力の回復を促したり、眼の機能を正常化し、眼の細胞の代謝を高める働きがあるからです。また眼の働きを休める、緊張を和らげるためには十分な睡眠も不可欠です。また適度な運動を行うことも有効です。眼の疲労をとるだけでなく、運動は、全身のリラックス効果もあります。全身運動で身体の血流をよくしたり、散歩などで遠くの景色を眺めたりというのはおすすめです。
最後に視力低下のための環境づくりについて提案します。みなさんの部屋の照明の明るさは充分な明るさがありますか。明るすぎても、暗すぎても目の疲労の原因になります。作業にふさわしい適切な照度があるかどうか、一度見直してみてください。
下の表は作業する場所の明るさの基準である照度を示したものです。適切な照度は、部屋の広さとそこで行なう作業内容によって適正基準(JIS:日本工業規格)で決められています。例えば勉強や読書の作業をする場合、自宅では勉強部屋全体の全般照度75~150ルクス適正照度となりますが、読書をする時などの手元の明るさは、500~1000ルクスが必要となります。図書館でも750~2000ルクスの明るさが適正となっているので、図書館の作業のしやすさを参考に家でも手元を明るくして眼に優しい環境にしましょう。
全般照明 | 局部照明 | ||
場所 | 照度(lx) | 作業・活動 | 照度(lx) |
勉強部屋、家事室 | 75~150 | 手芸、裁縫 | 750~2000 |
勉強、読書 | 500~1000 | ||
台所、食堂、トイレ | 50~100 | 調理台、食卓 | 200~1000 |
引用・参考文献
- 増田寛次郎:新版看護学全書 第27巻 成人看護学 メジカルフレンド社 2002
- 丸尾敏夫他:眼科検査法ハンドブック 第3版 医学書院 1999
- 佐藤昭夫編:人体の構造と機能 題2版 医歯薬出版株式会社 2003

