2006.11月 摂取エネルギーと基礎代謝
先月の肥満に続いて、今月は基礎代謝と自分の体に見合った摂取エネルギーについて考えてみましょう。
11月になり、いよいよ寒い季節になってきました。外で過ごすことが気持ち良い春や夏に比べて、この季節は暖かい家の中が快適になり、家の中で過ごすことが多くなります。それに伴い活動量が減ると体重が増えやすくなります。そこで今月は、みなさんがどのくらいの栄養(食べる量)を必要としているのか、そしてたくさん食べてしまった時はどうしたらよいのかについて考えてみましょう。
私たちの体はどのくらいのエネルギーを必要としているのでしょう
自分の体に必要なエネルギー量を知っていますか?私たちの体が活動できる仕組みは、よく車に例えられます。車はガソリンなどの燃料を補給して、それを燃やすことでエネルギーを作り出しています。私たちの体の燃料は「食べ物」ですが、体の中で消化、吸収などの複雑な仕組みによってエネルギーを作り出し、日々活動することができます。1日に必要なエネルギー(単位:キロカロリー=kcal)は簡単な計算で求めることができます。では、実際に計算してみましょう。
計算(例)
ここでは、高校生の年代(15歳―17歳)で考えてみます。
男性⇒ 27.0 × 50(体重) × 1.75 = 2363 ≒ 2360kcal
女性 ⇒ 25.3 × 50(体重) × 1.75 = 2213 ≒ 2210kcal
上の(例)を参考に計算してみましょう
あなたが(高校生の場合)1日にどのくらいのエネルギーを必要としているか、おおよそ把握できましたね。上の計算式の数字の男性なら27.0、女性なら25.3、そして1.75はどんな意味があるのでしょうか。次に、もう少し詳しく説明します。
基礎代謝について
上の計算式の27.0及び25.3は、体重1kg当たりの基礎代謝量を表しています。基礎代謝ということばは、みなさんも聞いたことがあるかもしれませんね。基礎代謝とは「生きていくために最低限必要なエネルギー量」のことです。睡眠中などじっと安静にしている時でも、心臓は動き、呼吸を続け、体温は維持されているのでエネルギーが必要です。体の中で基礎代謝のエネルギーが多く消費されるところは、筋肉、肝臓、脳です。計算式で男性が女性より基礎代謝が高いのは、男性は女性より筋肉量が多いことが関係しています。そのため筋肉量を増やすことは基礎代謝量を高めることにもつながります。成人以降、基礎代謝量はしだいに低下していくので、中高年になると太りやすくなると言われています。
※年代・性別による、体重あたりの基礎代謝量(kcal)は次のようになります。
男性:18-29歳 … 24.0, 30-49歳 … 22.3
女性:18-29歳 … 23.6, 30-49歳 … 21.7
身体活動レベルについて
計算式の1.75は「身体活動のレベル」を示す値です。身体活動のレベルは「低い(Ⅰ)」、「ふつう(Ⅱ)」、「高い(Ⅲ)」に分けられています。上の式では、真ん中のレベル「ふつう(Ⅱ)」の値を使って計算しました。身体活動のレベルが「ふつう(Ⅱ)」の人はどんな生活をしているのでしょうか。ここで高校生の1日の生活パターンのモデルを考えてみました。


(睡眠7.5時間)+(主に座っている12.5時間)+(低い強度1時間)+(中強度3時間)
=合計24時間/1日
ここで示した高校生の生活パターンは平日で、学校の授業があり、運動系の部活には所属していない場合です。
部活動で激しい運動をしている場合は、計算式の身体活動レベルが「高い(Ⅲ)」に該当するので係数を2.0にしてみましょう。また、休日に家でゆっくりしていた場合は、必要なエネルギーが少なくなるので、係数1.5を掛けます。
たくさん消費したいときは、活動内容を工夫してみましょう
同じ時間歩く場合は、歩き方の違いで消費エネルギーは変わります。例えば、ふつう歩行(71m/分)では、買い物や散歩のゆっくりした歩行(45m/分)に比べて、歩行時の代謝が約1.2倍、さらに急ぎ足(95m/分)では約2倍に増えます。消費エネルギーを増やしたい時は早歩きをお勧めします。
どんな食べ方をしたらいいのでしょうか
ここまで、私たちが活動するためのエネルギー必要量について述べてきました。それではどのくらい食べると収支バランスがとれるのでしょうか。一番わかりやすいのは体重の変動をみることです。毎日体重を計る習慣をつけましょう。そのためには、体重計に乗る時間を決めておくとよいでしょう(起きてからトイレに行った後など)。理論的には、摂取エネルギー(食べる量)>消費エネルギー の状態が続くと、余分なエネルギーが体の中のエネルギー貯蔵庫(脂肪細胞)に蓄えられます。脂肪の蓄えが増えていくと肥満につながります。私たちの体の仕組みはとても複雑なので、同じ食事量を食べても太りやすい人とそうではない人がいるように、エネルギー消費量は個人差が大きく、遺伝も関係するといわれています。したがって、自分の生活パターンや、体の特徴をよく知り、適切な食事量を摂っていくことが大切です。ここでは計算*例で示したエネルギー必要量に合わせて、1日の食事内容の例を示しました。それぞれの食事ごとに示した「大切なこと」を参考に、みなさんも自分の食生活を振り返ってみてください。
2210kcalの食事例
(年齢15-17歳、体重50kg、身体活動レベル「ふつう(Ⅱ)」の女性に必要なエネルギー量)
<朝食>665kcal
■ロールパン … 中2個(90g)
・バター … 小さじ1(5g)
■スクランブルエッグ
・卵 … 1個(50g)
・トマト … 1/2個(50g)
・チーズ … 小1個(20g)
■牛乳 … 1杯(200ml)
■キウイフルーツ … 1個(100g)
大切なこと:
- 朝食は必ず食べてください。
- 食事量の目安は1日必要エネルギー量の1/3くらい(600~700kcal)
<昼食>724kcal
(お弁当持参)
■ご飯 … 茶碗大盛り1杯(210g)
■鶏のから揚げ
・鶏むね肉 … 3個(60g)
・小麦粉、揚げ油
■ボイル野菜添え
・ブロッコリー … 3個(50g)
・きゅうり … 3枚(30g)
・ミニトマト … 2個(20g)
■かぼちゃの煮物 … 2切れ(40g)
■アサリの佃煮 … 大さじ1(20g)
■100%オレンジジュース … 1パック(200ml)
大切なこと:
- コンビニのお弁当や外食の時はエネルギー表示に気を配り、できるだけ食品数が多いものを選びましょう。食事量の目安は1日必要エネルギー量の1/3くらい(600~700kcal)です。
<間食>206kcal
■クリームパン … 中1個(60g)
■カフェオレ … 1杯
大切なこと:
- 間食の量は、夕食にひびかない程度が良いです。目安は200~300kcalくらいです。
<夕食>628kcal
■ご飯 … 茶碗大盛り1杯(210g)
■鮭の和風ソテー
・鮭 … 1切れ(80g)
・じゃが芋 … 40g
・だいこんおろし … 50g
・レモン … 1/10切れ
・青しそ … 1枚添え
■温野菜サラダ
・白菜 … 80g
・にら … 30g
・にんじん … 20g
・ごま … 小さじ1
・和風ドレッシング … 大さじ1(15g)
■具だくさん味噌汁
・玉ねぎ … 50g
・カットわかめ … 2g
・みそ … 10g
大切なこと:
- 出来るだけ早めの時間に食べ始めましょう(夜遅くなるほど、体は余分なエネルギーを脂肪として蓄えようとします)
(1日合計2223kcal)

参考文献
- 厚生労働省策定:日本人の食事摂取基準(2005年版)、第一出版、2005年初版
- 新食品成分表編集委員会:新食品成分表、一橋出版、2005年
- 蒲原聖可:なぜ太るのかやせるのか、ナツメ社、2002年

