ケアって、どういう意味だろう?

2006.2月 ストレスと上手に付き合おう!

ストレスで何故、お腹が痛くなるの?

学期末試験や入学試験の時期となりました。皆さんは体調を崩していませんか。学生の皆さんにとって試験は、日常生活最大のストレス状況かもしれません。そこで今月は、このストレスとの付き合い方について焦点をあてて考えてみましょう。

■ ストレスとは?

日本は今、ストレス社会と言われます。総理府の調査によれば、全体の55%の人が「精神的疲労やストレスを感じている」といいます。日常的に使われるようになったこの「ストレス」、そもそも一体何なのでしょうか。

通常「ストレス」というと、人間関係や職業上のものがあげられることが多く、過労もストレスの代表選手です。しかしそれだけではありません。ストレスには環境の変化、高温や低温による刺激、放射線や騒音、悪臭による物理的刺激、酸素の欠乏・過剰、栄養不足などの化学的な刺激、病原菌の侵入、外傷・怪我などの生物学的刺激、精神的な苦痛、怒り・不安・憎しみ・緊張などの精神的刺激などがあります。

1935年ストレス学説を唱えたH・セリエによれば、先に紹介した生体にストレスを与える刺激をストレッサーとよび、この刺激を受け「生体が、交感神経の緊張、副腎髄質からのアドレナリン分泌、脳下垂体ホルモン(ATCH)の分泌、副腎皮質ホルモンの分泌増加が起こって、身体内の代謝機能が活発になり、緊急事態に対処した準備をすること」をストレス反応と呼びます。

●ゴムボールの例

ゴムボールを指で押すと、ボールはゆがんだ状態になります。ボールを押している指が「ストレッサー」で、ゆがんだボールの状態が「ストレス」です。指を離せば、ボールは元の丸い形に戻ります。しかしいつも抑えつけていたら、 ボールはゆがんだままです。この歪んだ状態がストレスに反応しているストレス状態といえます。この状態が長期化すると、体のゆがみ・変調として心身の症状が生じやすくなります。

■ ストレスで何故、お腹が痛くなるのか

みなさんは緊張や不安があるとお腹の調子が悪くなった体験がありませんか。試験や試合、習い事の発表会の前など、朝起きたらお腹が痛いなどありませんか。それは胃や腸が自律神経の働きと密接に関わっているために、ストレスがたまると自律神経のバランスが乱れることでおこります。胃痛や吐き気、下痢や便秘になりやすいのも同じ理由です。

これは自律神経のひとつである「交感神経」の働きが緊張状態にあると優位になることに関係します。食欲不振はこの交感神経の働きで、胃腸の動きを抑えられた結果です。いつもストレスを抱えていると胃痛が生じやすくなるのは、「交感神経」ではなく、反対に「副交感神経」が一時的に活発になりすぎたために、消化に必要な「胃酸」が過剰に分泌され、胃の粘膜が傷つけられてしまうからです。

でもストレスで緊張していると「交感神経」が優位になるはずなのに、どうして副交感神経の働きも高まったのでしょう?実は交感神経と副交感神経は、常に拮抗してバランスを保とうとする特徴があります。そのためストレスが解消されずに持続して交感神経が優位になったままでいると、副交感神経の働きも一時的に高められてしまいます。このとき、胃酸が大量に分泌されるため、胃の粘膜が傷つけられるのです。そのため胃痛が生じ、悪化すると胃潰瘍になってしまうこともあるのです。

■ ストレス反応は受け手の状態によって変わる?

ところでストレス反応というのは、同じストレッサーを受ける場合にはストレスを受けた人全員に等しく現れるのでしょうか。現実は異なります。ストレス反応の出現や程度、その内容ともに個人差があります。全く反応がない場合もあります。ストレス反応は、そのストレスに対する対処の能力や耐性をその人が持っているか、否かの違いによって現れます。そのため普段からストレスを上手に対処できる術を身につけたいですね。

■ ストレスと上手につきあおう!!

ストレスの発散方法について

皆さんはストレスで疲れた身体や、イライラしたり落ち込んだ気持ちをどのように発散していますか。一日中、そのストレスの原因や影響、今後のことなどを考え込んではいませんか。あるいはストレスを気持ちの奥底に押し込めて、まるでなかったことにしていませんか。この方法ばかりではストレスの発散が難しくなりますね。

通常、「ストレスを発散する」という場合、ストレスによって生じた心身の不快な状態を解消することを意味します。ですから「ストレス発散」で大切なことは、いかにストレスで生じた不快な状態から心地よい状態へ回復できるかということになります。

ここで大切なことは、ストレスを発散することと、ストレスの要因となる問題を解決することを混同しないということです。ストレスが小さい場合は、ストレスを発散しながら解決方法もひらめいて気分が晴れる例もありますが、ストレスの大きさによっては必ずしもストレスを発散しながら解決するというのは難しいです。

楽しむ時は楽しむ、休む時は休むが鉄則!

ストレスを発散する時は、そのことに専念することをおすすめします。スポーツや音楽、楽しみたいことに専念しましょう。「そんなことができたら苦労しません」という声が聞こえてきそうですが、それがストレス状況に生じやすい思考の悪循環です。ですからあえて「今は考えるのをやめる」などといった気持ちの切り換えが必要です。

例えば温泉に出かけたとします。「お風呂に入ってゆっくり考えたら、嫌なことも冷静に振り返ることができるわ」と思い、露天風呂に入りながら考えます。ストレスが小さければお風呂を楽しみながら、考えることができかもしれません。けれど思い出すだけでも気分が悪くなる場合は、身体を暖め周囲の景色を楽しむなど本来の寛ぐ目的は達成できず、制限なく考えられることで余計に体調を崩してしまうでしょう。ですからストレスを発散する際には「楽しむことは楽しむ、休むときは休む」が鉄則です。

自分なりのストレスの発散方法を見つける

さて貴方のストレス発散はどのような方法ですか。その方法はいつ、どこででも、ひとりでもできますか。ストレスの発散方法で大切なのは、その方法が日常生活で気軽に取り入れられる実践可能な方法かどうかと言う点と、それで貴方の心身の辛さが実際に楽になるかどうかという点です。後悔したり、誰かに迷惑をかけたり、かえってあなたの健康を害するものであっては意味がありません。普段の生活から好きなものや、リラクゼーションできるものを自分で探して体験して、自分にあった発散方法を早くからみつけましょう。実際に体験を増やすことは、あなたにとって具体的な手がかりになるでしょう。

ストレスとの付き合い方

ストレスとの上手な付き合い方は、ストレスの内容に限らずストレスを抱え込むのではなく、日記に思いを綴る、または誰かに自分の思いを語るなど表現することが大切です。思いの中にとどめるのではなく、表現することでつらくてもてあましていた思いや事実が少しずつ整理されるかもしれません。辛い時は誰でも「これは今、解決しなければならない」、「私には解決できない。もうだめだ」など考え方が極端になりやすいですが、そのような時ほど結論を急ぐのではなく、あえて立ち止まり深呼吸できる機会も生まれるかもしれません。意外なところから解決の糸口が生まれるかもしれませんよ。

天使大学看護栄養学部看護学科では、2年次からこのような心身の健康について健康生活看護学Ⅴ(精神看護学)で学習します。

参考文献

  1. 東洋・大山正他編:心理用語の基礎知,有斐閣,1978.
  2. 平野鉄雄・新島旭:脳とストレス,共立出版,1995.
  3. 柴田昭・高久史麿監:内科診断学,西村書店,1994.
  4. 前川正・原沢道美他:内科学ハンドブック,文光堂,1982.
  5. ヘルスクリニックホームページ http://www2.health.ne.jp/

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