ケアって、どういう意味だろう?

2006.1月 味覚と食事の関係

毎日おいしくごはんを食べていますか?

食べ物をおいしいと感じるのは、体がそれを必要としているからです。甘味を呈するものはエネルギー源になり、旨味を呈するものは体を作るたんぱく質の素になります。体内に栄養素が不足していると、それが無性に欲しくなり、それを口にすると非常においしいと感じます。疲れたときに甘いものを食べるとほっとしますね。一方、まずいものは一般に体に有害なものです。苦味によって有害なものを、酸味によって腐敗を見分けることができます。

食べることは生命維持に欠かすことのできない本質的な行為です。その食欲を刺激する味覚は最も基本的な感覚であり、人は味覚によって生きる楽しみを増すことができるのです。

■ 味覚障害と亜鉛

このように、味覚は人間にとって重要な感覚ですが、さまざまな原因によって異常が発生します。味覚障害の原因には、次のようなものがあります。

  1. 舌に火傷や炎症をおこしたとき
  2. 舌に苔がついたり、唾液の分泌量が低下したとき
  3. 味を感じる味蕾細胞の働きが低下したとき
  4. 味を脳に伝える神経が障害されたとき
  5. 嗅覚に異常があるとき(風味障害)
  6. 心因性
  7. 老化

このうち、食生活と関係が深いものは、3の味蕾細胞の働きの低下によって起こる味覚障害です。体内の亜鉛が不足すると、味蕾細胞の働きが低下し、味覚障害になります。亜鉛はたんぱく質を合成するために欠かせない栄養素のひとつです。たんぱく質は細胞を構成しているので、細胞の新陳代謝が激しい細胞では亜鉛不足の影響が最初に現れます。味蕾細胞も新陳代謝の激しい細胞のひとつなので、亜鉛不足によって味覚異常がおこるのです。

この他に、亜鉛が不足すると男性では精子不足、女性では生理不順、子どもでは成長の遅れが発生します。また、皮膚が荒れたり、髪の毛が抜けたり、免疫力が低下して風邪をひきやすくなったりします。亜鉛不足の原因には、食事以外に、薬の副作用によるもの、消化管疾患・腎障害・肝疾患・糖尿病などの疾患によるものがあります。

■ 亜鉛を多く含む食品

亜鉛を多く含む食品は、肉類、卵類、貝類、豆類、種実類です。穀類に含まれる亜鉛の量はそれほど多くはありませんが、1日に食べる量が多いため、穀類は亜鉛の大切な供給源になっています(表参照)。茶碗に1杯のごはんには約1mgの亜鉛が含まれているので、1日に3杯ごはんを食べると考えると、約3mgの亜鉛をごはんから摂ることができます。亜鉛の摂取基準は、成人男性で9mg/日、成人女性で7mg/日ですから、主食であるごはんから必要量の約1/3の亜鉛が摂れることになります。

これに対して、ごまなどの種実類は1回にそれほどたくさんは食べることができません。ごま和えに入れる量(ごま大さじ1杯:9g) を食べたとしても、0.5mgしか亜鉛をとることはできません。毎日食べるごはんやパンなどの主食がいかに重要かわかりますね。

食品名 食品100g中に
含まれる亜鉛の量
1回あたりの使用量に
含まれる亜鉛の量(目安量)
献立例
食パン 0.8mg 0.7mg(4枚切り1枚) (朝食)
ピザトースト
牛乳
果物
チーズ 3.2mg 0.6mg
(スライスチーズ1枚分)
牛乳 0.4mg 0.7mg
(コップ1杯分)
ごはん 0.6mg 1.0mg
(茶碗に中盛り1杯分)
(昼食)
オムライス
野菜サラダ
スープ
鶏卵 1.3mg 0.7mg
(1個)
鶏肉
(もも皮なし)
2.0mg 0.8mg
(40g)
ごはん 0.6mg 1.0mg
(茶碗に中盛り1杯分)
(夕食)
ごはん
豚肉のしょうが焼き
ほうれん草のごま和え
高野豆腐の煮物
高野豆腐 5.2mg 0.8mg
(1枚)
豚肉(もも) 2.0mg 1.6mg
(80g)
ほうれん草 0.7mg 0.7mg
(お浸し小鉢1杯分)
ごま
5.9mg 0.5mg
(大さじ1杯)

この表に載せた食品の1回あたりに使用する量に含まれる亜鉛を合計すると9.0mgになります。これらの食品を使った献立の例を挙げていますが、この献立から1日に必要な亜鉛を摂ることができます。このように、主食となる穀類と、主菜となる肉類・卵類・乳類・大豆製品をしっかり摂ることで、必要な量の亜鉛を摂ることができるのです。

この表に挙げたほうれん草には比較的多くの亜鉛が含まれていますが、一般的に、野菜にはそれほど多くの亜鉛は含まれていません。しかし、野菜にはビタミン類やミネラル・食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。主食・主菜だけではなく、副菜も食べて、野菜をしっかりと摂るように心がけてくださいね。主食・主菜・副菜の重要性は、天使のケア9月号でも紹介していますので、参考にしてください。

参考文献

  1. 冨田寛:若い人にもしのびよる味覚障害, 食と健康, 47: 54-61, 2003
  2. 池田稔:味覚障害の病態, 日本味と匂学会誌, 10,71-77, 2003
  3. 厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2005年版), 第一出版, 2005

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