ケアって、どういう意味だろう?

2005.10月 10代からの健康増進~骨粗鬆症予防

10代のみなさんは食事をしたり、お風呂へ入ったり、出かけたりするのに不自由を感じない方が大半だと思います。不自由を感じない理由のひとつは、自分のことが自由に出来るだけの運動機能が備わっているからなのですが、高齢期になると、老化によってこの機能が次第に衰えてきます。

高齢期は皆さんにとっては何十年も先のことですが、いくつになっても元気に生き生きと暮らせるためには若い年代からのケアが大切です。骨の老化によっておこる骨粗鬆症は、骨折しやすい骨となり、寝たきりの原因ともなります。しかし、骨粗鬆症は10代からの健康管理である程度予防ができます。将来の自分のために、運動機能にかかわる「骨」について考えてみましょう。

■ 骨の役割

「骨」といえば、すぐに「カルシウム」と連想する方が多いと思います。骨に対して無機質的なイメージが強いかもしれませんが、実は骨も細胞から出来ていて活発に新陳代謝をしている組織です。

骨は私たちの体を支え、脳や内臓を保護する硬い組織です。骨細胞が新しく生まれて成熟するにつれて、骨細胞はコラーゲン繊維といわれる基質を作り出します。この基質にカルシウムが沈着することによって強度の高い骨となります。基質に沈着するカルシウム類を骨塩といいます。骨塩量が多いほど強度は高くなり、骨塩量は成長期から急激に増加し20歳位で最大になるといわれています。

しかし、一度骨取り込まれたカルシウムは一生その場所にあるわけではありません。カルシウムはホルモンやビタミンの働きによって骨に取り込まれたり血液中に放出されたりしています。骨はカルシウムの貯蔵庫としても機能し、血液中のカルシウム濃度を一定にする働きもしているのです。

■ 骨の老化

加齢に伴う骨量(骨基質量+骨塩量)の変化骨では、破骨細胞という細胞によって古い骨細胞が溶かされて成分が血液中に戻される一方で、新しい細胞が血液から養分を得て成熟することが繰り返されています。青年期、成人期では、この古い細胞の破壊(骨の吸収)と新しい細胞の出現(骨の生成)はバランスがとれています。しかし、年とともに骨の吸収と生成のバランスが崩れて吸収量が生成量を上回り、20歳位で最大となったカルシウム貯蔵量は40歳以降徐々に減少しはじめます。(図1)

カルシウムが減ると骨の強度が落ちてきます。骨の内部は軽石や海綿のような小さな穴が無数にあいた構造をしている部分(海綿骨)があり、骨組織の吸収が進むと、骨組織が減ることによって相対的に空洞が増えるため、外圧に対する強度が低下します。普段なら打撲ですむような転倒でも骨折につながる危険が出てきます。

骨に特に病気がなくても、正常な老化によってこのような状態になりますが、病的に骨折しやすい状態となって医学的治療が必要となるのが骨粗鬆症です。骨粗鬆とは、文字通り、「骨が(骨)粗く(粗)隙間(鬆)が出来る」ことです。骨粗鬆症になると、骨折や関節に負担がかかって痛みが出ることで活動が不自由になる場合も生じます。

■ 10代からできる健康増進法

誰もが老化によって骨の強度が低下しますが、若い年代からの工夫で骨の強度が落ちるスピードを遅らせることが出来ます。骨粗鬆症を予防するためには、若い頃にカルシウムを多く骨に貯蔵すること、40歳以降のカルシウム減少のスピードを遅らせることが大切です。今回は活動面での工夫を2点ご紹介します。

日光を浴びる 紫外線によって皮膚でビタミンDが活性化されます。活性化されたビタミンDは腸管からのカルシウム吸収や、骨気質へのカルシウムの沈着を促進させます。通学、屋外活動などの機会も多いと思いますが、30分ほど日光を浴びる時間を意識して過ごしてみましょう。窓ごしの日光浴は紫外線がある程度遮断されているので、屋外で過ごす時間が大切です。
適度な運動を継続する 運動によって骨に負荷を与えることはカルシウムの骨への取り込みを促進させます。調査では適度な運動、運動習慣の継続が骨塩量の増加と関連しているといわれています。運動は将来骨塩量を維持し、減少を遅らせる効果もあります。屋外での運動を取り入れると、日光を浴びることも同時にできて一石二鳥ですね。

健康な方への健康増進だけでなく、病気の再発あるいは再燃を防ぐために生活を変更しなければならない方へも看護師は援助します。みなさんが勉強やダイエットを継続するのに苦労するように、健康のために必要な運動を習慣化させていくことは難しいことです。3年次からの健康生活看護学臨地実習では、地域の方への健康教育や入院患者さんへの生活指導をとおして、必要な健康管理が継続できるための支援を実際に学習していきます。

参考文献

  1. 中村利孝編:骨粗鬆症ナビゲーター,メディカルビュー社,2001.
  2. Lippold-O, Cogdell-B著,入來正躬,永井正則訳:生理学-はじめて学ぶ人のために-,総合医学社,1999.
  3. 井口昭久編:これからの老年学 サイエンスから介護まで,名古屋大学出版会,2000.
  4. M.A.マテソン,E.S.マコーネル著,石塚百合子他訳:看護診断に基づく老人看護学2 身体的変化とケア,1993.
  5. 森井浩世編:骨粗鬆症Q&A,医薬ジャーナル社,1996.

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