ケアって、どういう意味だろう?

2005.8月 晴天が続いています。しっかり水分補給していますか?

晴天の下、北海道も気温の高い日が続いています。また、旅行やキャンプなど屋外で過ごす機会が増えていることと思います。遊びに夢中になっているうちに、気分が悪くなったことはありませんか。こんなときは体内で発生した熱を冷やすために沢山の汗が出て、その水分補給が間に合わず脱水症状を起こしていることがあります。そして、この脱水症状を放っておくと生命さえも脅かされます。行楽シーズンを楽しく元気に過ごすために、今月は熱中症と水分補給について考えてみたいと思います。

■ 熱中症って何?

熱中症は、「熱に中(あた)る」と書きますが、どのような身体の状況を表すのでしょうか。気温がある程度、高くなったときのことを思い浮かべて下さい。その気温の高さに反応して、身体の表面へと流れる血液量が増えて、余分な熱が皮膚表面から放出されます。こんなときは皮膚が熱くなっています。また、熱を冷やそうとする身体の機能が働き、沢山の汗をかきます。けれども、気温がかなり高くなったり、あるいは湿度がかなり高くなったりした場合には、この身体の機能が十分働かなくなり、身体の中に熱がうっ積し、40度前後以上の異常な体温上昇へとつながることがあります。

この40度前後の体温上昇をなんとかくいとめようと、身体はさらに汗をかいて頑張りますが、このまま汗をかき続けるとどんどん水分が失われ、脱水症状まで引き起こしてしまいます。このような体温の異常上昇と脱水状態によって起こる様々な不調のことを熱中症といいます。

■ 熱中症の分類

皆さんが普段耳にすることのない言葉が並んでいるかもしれませんが、熱中症は、次のように分類されています。

分類 症状
熱疲労 脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの脱水症状が生じる。
熱けいれん 沢山の汗をかいたときに水分だけを補給すると血液中の塩分濃度が低下し、低ナトリウム血症が生じ、足、腕、腹部の筋肉に痛みをともなったけいれんが起こる。
熱失神 皮膚血管が拡張して血圧が低下し、脳血流量の減少に伴ってめまいや一時的な意識消失が起こる。
熱射病 身体機能(中枢機能)が働かなくなり、40度を超えるような異常な高体温を呈す。意識障害が起こり、死亡率も高く、透析を要するような腎機能障害などの後遺症を残すこともある。

■ 熱中症になりやすいとき、なりやすい人

実際に熱中症になりやすいのはどのようなときでしょうか。

  • 涼しいと思っている中で、突然気温が上昇した日
  • 湿度が非常に高い日や雨上がりの蒸し暑い日  など

トレーニングこのように、気温や湿度が高くなり、その高さに身体が馴れていないときは、注意が必要です。特に、クラブ活動の合宿の初日やランニングを始めて数日間は、身体が暑さに馴れていないため要注意です。しかし、涼しくなったはずの9月、10月にもマラソンなどのトレーニング中や終了後に、意識がなくなるなどの事故が起こっているので、気温や湿度に気を付けるだけでは、熱中症を防ぐことができないのです。

それでは、熱中症になりやすいのはどのような人でしょうか。

  • 疲れがたまっていて体調の悪い人
  • 高齢者、肥満の人、暑さに弱い人、熱中症を起こしたことのある人  など

このように、体調が悪かったり、病気を持っていたりする人は、注意が必要です。「自分は若くて健康だから大丈夫!」と思っていても、寝不足ばかりが続いていると暑さに負けてしまいます。また、痩せているからといって油断は禁物です。

熱中症の発生には、気象条件とその日の体調が影響しており、その関係は複雑です。さて、この熱中症を予防するためには、どのようなことに気を付けると良いのでしょうか。

■ 熱中症にならないために

熱中症を予防するためには、気象条件やその日の体調に気を配ることはもちろんですが、次のような対策を取ることも必要です。

  1. 外出は、吸湿性、通気性の良い素材の軽装で
  2. 傘や帽子を利用する
  3. のどの渇きを感じる前に適度な水分をこまめに補給する
  4. 沢山の汗をかいたときには、水分とともに塩分も補給する(体内塩分を補給するために、水と水分補給に注意して適正な割合で作られたスポーツドリンクなどを利用すると便利)
  5. 疲労をためず、十分に睡眠をとる
  6. ビタミン、ミネラル、栄養補給に気を配り、しっかり食べる
しっかり食べるこれらの対策とともに、気象条件の予測データ等から熱中症の危険度を示した「熱中症予防情報」(財団法人日本気象協会)も参考になります(引用・参考文献・サイトをご参照下さい)。また、もしも具合が悪くなってしまったら、身体を冷やしながら水分を補給し、できるだけ早く病院へ搬送するなどの緊急対応をとりましょう。

■ 予防活動と看護職

今月は、さまざまな場面で生じる可能性がある熱中症について考えてきました。主に屋外での活動やスポーツ活動の際の熱中症について考えてきましたが、高熱作業のある職場、例えばガラス、製鉄、紡績などに携わる人の場合は、職業病としても熱中症を起こすことがあるため、常に注意が必要です。

このような様々な場面には、必ず看護職が関わっています。例えば、屋外イベントの会場などには救護班の一員として、スポーツやクラブ活動を行う学校などには養護教諭として、企業や事業所などには健康管理室の職員として看護職が働いています。つまり、地域住民、生徒や学生、企業の職員の健康を守り、それを増進するために、看護職は病院だけでなく地域社会の中でも活動しています。また、時には住民の要望に応じた健康教室を開いたり、住民の自主的な保健活動を支援したりもしています。

天使大学看護栄養学部看護学科では、看護職として地域社会と関わる活動の基本的知識を2年次に学びます。また、3年次の臨地実習を通して、地域で働く看護職の実際の看護活動を学んでいきます。

引用・参考文献・サイト

  • 日本体育協会指導者育成専門委員会スポーツドクター部会監修:スポーツ医学研修ハンドブック(基礎科目),文光堂,98-103, 2004.
  • エドワード・フォックス;朝比奈一男監訳:スポーツ生理学,大修館書店,277-296, 2004.
  • 最新医学大辞典編集委員会編:最新医学大辞典第3版,「熱中症」の項,医歯薬出版,1408, 2005.
  • 沖中重雄監修:看護学大辞典第2版,「熱中症」の項,メヂカルフレンド社, 1433, 1985.
  • 和田攻他編:看護大事典,医学書院, 2129-2130, 2133-2134, 2003.
  • 「熱中症予防情報」(財団法人日本気象協会): http://www.kyoto-kem.com/japanese/products/heat/(京都電子工業株式会社ホームページ).

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